オリーブの木が日本の荒れた農地を救う?!


 

平成27年12月に農林水産省から発表になった「荒廃農地の現状と対策について」という資料によれば、以前耕作していた土地で過去1年以上作物を作付けせず、この数年の間に再び作付けする考えのない土地(農家の自己申告)を耕作放棄地と呼ぶそうです。農家の高齢化が進み、農業をやめる人が増え、とは言え後を引き継いでその農地を代わりに運営する者もおらず、結果として農地が荒れていくというパターンが多いようです。農林水産省でも上手に耕せば食料を生み出せる貴重な資源を無駄にして、農業の技術伝送も途絶えてしまう耕作放棄地という状況を問題視しており、販売先であるメーカー参入による取り組みや、新たに農業に就きたいという若い人を募集して飲食店向けに野菜を作ったりと様々な取り組みをしているようです。その中で耕作放棄地にオリーブの木を栽培し始めたというニュースを日本各地から聞かれるようになってきたのですが、なぜオリーブなのか調べてみました。

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※剪定中の農園(イタリア南部プーリア州)

 

こんな意外な場所でオリーブオイルを植え始めている

日本で耕作放棄地にオリーブを植えはじめている主なエリアは、調べただけでも北からだいたいこんな感じです。

石川県七尾市
能登島をオリーブの名所に 観光と農業で活性化

神奈川県二宮町
遊休・荒廃農地活用して 「湘南オリーブ」栽培 「健康長寿の里」進める二宮町

静岡県静岡市
「静岡市産オリーブオイル」完成 首都圏進出目指す

熊本県天草市
「オリーブの島」目指す天草 39ヘクタール、1万8800本に拡大 /熊本

佐賀県唐津市
地方発創生 オリーブで活性化 2万本目標、唐津の研究会が植樹 化粧品の需要も期待 /佐賀

長崎県長与町
九州初の試みでまちづくりに取り組む長与町オリーブ振興協議会

宮崎県日南市
宮崎大学農学部地域連携事業活動 日南市×オリーブ栽培

鹿児島県日置市
鹿児島県 日置市のオリーブ産業化への取組について紹介します

 

九州での取り組みが多いです。また、耕作放棄地対策がメインではないですが、東日本大震災で大きな被害に遭った福島県広野町、宮城県石巻市でもオリーブを復興の象徴として栽培する試みがなされています。

 

なぜ耕作放棄地にオリーブの木なのか?

大きく分けて以下の3つの理由に起因します。

(1)気候が適している
オリーブの木は寒い環境だと育たないと言われています。だいたい北緯30度~45度が北半球での栽培のエリアとされていてこれによれば理屈上は北限である北緯45度といえば幌延町という北海道稚内市の宗谷岬に近い付近、南限である北緯30度といえば鹿児島県の屋久島と口之島の間位になります。ということは理屈上は日本列島のほぼ全域で生産できるといえます。先ほど挙げた場所は全てこの範囲に入っています。ちなみに北半球と南半球では赤道を挟んで季節が真逆で、南半球での栽培については北半球と同様に今度は南に向かって南緯30度~45度です。イタリアでもそうですが、地中海沿岸の降雨量が比較的少ないエリアで何百年、下手すると千年以上も枯れる事無く生きている木がある位で基本的に生命力が強い植物と言えます。オリーブ木を切って途中から違うオリーブの枝を挿し木しても、そこからまたグングン生育したりする位ですから。

(2)鳥獣害に強い
日本で作物を狙っている動物(サルなど)はミカンやリンゴなどの果樹は狙いますが、オリーブの木は狙いません。恐らく、かじっても美味しい果実ではないからでしょう。(オリーブオイルは搾って初めてあの風味が出ます。)但し、一般的にオリーブの木でも鹿、山羊、羊などによる木のや葉や幹への被害が報告されているのでこの手の動物は日本でも注意すべきではありますが、日本のオリーブ生育地に野生の状態で生息していません。

(3)他の果樹よりも多くの収入を見込める
単に収穫したオリーブ果実を販売するのではなく、付加価値あるオリーブオイルに加工して販売ができる、という点でアドバンテージがあると言えます。但し、高品質なオリーブオイルを製造するにはそれに見合った搾油設備を用意しないといけないので投資がかさみますが。余談ですが、搾油設備を幾つかの農家で共同で所有するなど工夫すれば費用は押さえられますが、搾油タイミングが同じなので使いたい時に設備がタイムリーに使えない恐れもあり、結果として品質劣化に繋がる可能性もあります。

 

ご当地オイルがオリーブオイルを身近に感じるきっかけに!

規模次第ではどこまで影響力のある存在になるか判りませんが、これから誕生する日本のご当地オリーブオイルが良いきっかけになり、消費者にとってオリーブオイルがもっと身近な存在になるのでは?と期待しています。「本物」のオリーブオイルを求める声も日に日に多くなってきている今日、日本のオリーブオイル業界のレベルが更に上がっていくと良いなあと思います。私もイタリアからのオリーブオイル輸入を通して、天候、収穫時期、土壌、品種、製法の違いによって味に違いが出ることにオリーブオイル作りの難しさ、奥深さを感じます。生命力の強い樹木とはいえ、美味しいオリーブオイルが出来るように栽培から製造までを上手に管理していくことが並大抵ではないなと思う次第です。

ところで・・・

2年かけて探してようやく見つけたイタリア産オーガニックオリーブオイルはコチラ!!

数年後、ご当地オリーブオイルが日本各地で見られるかも。http://www.bioissimo.jp/blog/5009/

Posted by Bioissimo on 2016年2月3日

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